この記事は、『十三機兵防衛圏』というSFアドベンチャーゲームをプレイ中の、
現在プレイ時間10時間程度
アドベンチャータイプのゲームが苦手
なおかつ、TVゲームをプレイすること自体が約5年ぶり
そんな私が、チュートリアルをする中で、
「一見して複雑なゲームシステムとストーリー構成でありながら、チュートリアルで全くだれることなくプレイできた!これは、謎解き公演の作りや演出の参考に出来るのでは!!」
という感動を得たので、共有のために書くものになります。
それではどうぞー!
十三機兵防衛圏とは
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
日本ゲーム大賞2020の優秀賞に選ばれた作品であり、
発売5年目にして、未だに記憶を消してもう一度やりたいという感想まで出る驚異のストーリー体験が出来る作品。
ストーリー
1985年。突如飛来した「怪獣」は、それまでの平穏な日々を一変させた。
あまりに巨大かつ圧倒的な力を持つ怪獣を前に、町の人間たちは逃げ惑うばかり。
そんな中、13人の少年少女たちは巨大ロボット「機兵」に乗り込み戦いを挑む。
生まれた時代が違っても、抱えた罪が重くても、分からないことばかりでも。
彼らの目的はただ一つ。世界の破滅を防ぐため、時を超えた戦いが始まる。
桜井政博氏「ゲームシナリオを書こうという人なら全員プレイすべき」
『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』や『星のカービィシリーズ』のディレクターを務めており、それらの「生みの親」とも称されている桜井正博氏。
『週刊ファミ通』のコラムで
「『十三機兵防衛圏 』 はゲームシナリオを書こうという人なら全員プレイすべき」
という言葉を述べられていました。
…ということを、数年たってから知りました。(笑)
何にしても、「それはプレイするべきじゃないか!!」
ということで、すぐさまゲオに駆け込み購入し、兄:あーく宅からPS4をかっさらってプレイを始めました。
画期的なチュートリアル作り
ここから先、ゲーム序盤の若干のネタバレに触れるので、読みたくない方はブラウザバック推奨
プレイし始めて驚いたのはそのチュートリアルの作りでした。
※「画期的な」といっても、TVゲーム自体が約5~7年ぶりなので、最近のTVゲーム事情をあまり知らない私からした、「画期的な」チュートリアルですので、悪しからず。(笑)
プロローグだけで2時間半!?
十三人の少年少女が、それぞれの視点、立場で「機兵」と呼ばれるロボットに乗り、「避けられぬ破滅の運命」に時を超えて抗う、壮大なSFアドベンチャーゲーム。
絵画を思わせるグラフィックと滑らかなアニメーションで描かれた表情豊かなキャラクターたち。
現在、過去、未来にわたり、複雑に絡み合う十三人の主人公の群像劇。
そして、十三人の視点を自由に行き来しながら徐々に明らかになっていく物語の全貌に、多くのユーザーから「心を揺さぶられた」「ゲームの世界に引き込まれた」との声が寄せられての受賞となりました。
(日本ゲーム大賞2020 優秀賞 選考理由より)
https://awards.cesa.or.jp/2020/prize/year/03.html
こう記されているように、
バラバラな時間軸
プレイしていると分かるのですが、プロローグの時点でとにかく時間軸が現在・過去・未来に行っては来て、行っては来てで、
うっかりすると、「あれ…今西暦何年!?」とうっかりすると認知症的な状態になりかねません。
(実際は、背景の作りや衣装で伝わりやすく工夫されており、そこまでストレスではなかったのですが!)
キャラクター総数13人
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
個性的なキャラクターがなんと13人もいるのです!
ひとり一人に物語があるので、これがプロローグを長くしている元凶だと思っています。(笑)
戦闘パートとアドベンチャーパートの2つの区分。操作手順も2倍。
加えて、戦闘パートでの操作も覚えないといけません。そらもう大変だろうと思っていましたよ。
まとめると
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
時間軸・登場人物・戦闘
これらの操作や複雑に絡み合うストーリーを全て理解していかないと、迷子になってしまいます。
普通に作られていたら、プロローグやチュートリアルで投げ出したくなる程のストレスだったと思います。
ですが、
「よく考えたら、ここまでがプロローグだよな…?プレイ時間どれくらいだ?」
「って、2時間半!?!?」
というくらい、なんと、ほぼノンストレスで超長時間のプロローグ・チュートリアルをプレイすることが出来たのです!!
この経験は、謎解き制作に活かせるのではないかと思ったのです!!
チュートリアル・プロローグの工夫はココにあった!!
ポイントは、
・「もっと先が知りたい」という“探求欲”
・「自分で操作している」という“能動感”
ここから先、謎解き公演を作る上で参考になるポイントを押さえてお伝えしていこうと思います。
チュートリアル・プロローグの分析
ゲーム開始:[プレイヤーの心を“つかむ”表現]
突然街中に、巨大な機械の敵が襲ってくる。
起承転結の“起”のインパクトの強さで心をつかむ表現をしています。
最初に戦闘が開始:[脳で考えさせない。体験で脳を活性化させる]
それに対してプレイヤーは、“機兵”というロボットに搭乗していきなり戦闘に入る。
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
・敵が数体のみ、1方向のみから襲来
・自身で複数の選択肢から行動を選択はできず、選択肢は1つのみ
・選択肢は実質武器の選択程度
まずは主要キャラクター2人を実際に操作して、能動性の高い戦闘パートを開始できるから、
「このゲームではどんな体験ができるのか」が分かる。
チュートリアル:[制約は加えつつ、「自分で操作している」という“能動感”が得られる体験]
チュートリアルは最初の戦闘(バトルパート)と、鞍部十郎(主要キャラクターの一人)の学校・街中での他のキャラクターとの交流(アドベンチャーパート)がそれにあたります。
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
[アドベンチャーパート]
・あえて自由な行動はできないようにされており、できても移動と他のキャラクターに声を掛ける程度
・部屋の中でできることはひとつのアクションだけに制約
・何をするとストーリーが進行するのか、≪○○をしたら△△になります≫程度の、「ひとつの動作に対してひとつの結果が得られるという指示」で留められている
序盤のストーリー進行:[「もっと先が知りたい」という“探求心”をくすぐられる体験]


鞍部十郎のストーリーは、チュートリアル的にひとつの行動が出来る進行になっているから、悩まずに進めることが出来る。
それでいて、ストーリー的にだれることがないのは、
「鞍部じゃなくて、別人??」
「夢の中での出来事が関係していそう?戦闘は夢の中の話なのか?」
チュートリアルの時点で、次へのストーリーにつながる謎が散りばめられている
といったことで期待感が高められるから。
会話が多い分、だれることが無いようにあえて細かく途切れさせて、プレイヤーが次に進めるっていうアクションを取らないと進むことができないようにしていることも“能動感”につながっている。
2回目の戦闘:[操作の自由度の増加による“能動感”の向上]
(C) ATLUS (C) SEGA All rights reserved.
・敵が2段階に分かれて襲撃。さらに、4方向から襲来
・自身で[移動/攻撃]から行動を選択できるようになる
1回目の戦闘よりも、少しだけ自由度が上がって、考える機会が増えることで、“能動感”が増している
ここまでで、最序盤の主要キャラクターのプロローグが終了します。
時代場面の変化と新キャラ登場:[既知の単語を用いての“探求心”の深化]
新たなチャプターに入ると、突然の新キャラクター登場に加えて、明らかに先ほどまでとは異なった時代背景が広がっている。
加えて、16歳そこらの少女が「機兵は私が作った」という“既知の単語”に絡めた、信じがたい話とミステリーを各所に散りばめて取り入れられていることで、
“探求心”と“好奇心”をくすぐられて、引き込まれる仕掛けが施されている。
これによって、「次を知りたい!」という気持ちにさせられました。
ここから、主要キャラクターのプロローグが切り替わり立ち代わり繰り広げられていきます。
やはり、各セクションの終わりには、“探求心”と“好奇心”をくすぐる仕掛けが施されていました。
あとがき
現在、50%オフのセール中!!
そんな『十三機兵防衛圏』ですが、
なんと…、
私も驚いたのですが…、
なんと丁度このタイミングで、1月29日(水)まで50%オフで購入することが出来るそうです!!!
桜井政博氏の言葉を借りて、「ゲームシナリオを書こうという人なら全員プレイすべき!!」
予告
私は、(特に公演型の謎解き作品において)限られた時間の中でストーリーを伝えつつ、謎解きに絡めた上で楽しんでもらえる謎解きを制作するというのは、非常に難しいと思っています。
なので次回は、『十三機兵防衛圏』のプロローグ・チュートリアルを参考にした、
「ストーリー主軸の謎解き公演の進行手順」の一例を考えていきたいと思います。
ストーリー主軸の作品を作る方の参考になればいいなと思っています。
…が、ここで書くと収まりきらなくなるので、また後日アップしたいと思います!!
こうご期待ください~♪
コメント